エンターテイメント書籍店

木造校舎を知らない世代に
この本の中にある校舎の古び方を知っている世代は、もう若い人の中には少ないと思います。私自身もその世代です。それでも、必ず感じられる懐かしさと寂しさのようなものが、この写真からは感じられます。

今の今まで残ってきた木造校舎は、資料的、芸術的な価値があったり、逆に改築したり取り壊したりする予算がなくて、結果的に残ってきたものの両極に分かれますが、どちらの建物も時を経て子供達が通り過ぎ、かもし出すようになった独特の気配を放っています。
その気配をはっきりと捉えた、素敵な写真集だと思います。

地味と感じる無かれ
特別に僧堂内の撮影許可を得た写真家が修行僧との生活を通して見た僧の
世界をモノクロ写真にて凛とした禅の世界へと誘う。

撮影対象や構図に派手さはない。
だが人間と自然の関係のありかたを考えさせられる。
１ページ目の掃除する僧を見た瞬間に別世界へと引き込まれた。
無駄のない動き、自己を律することにより得ることのできる動作。

自然の恵みを受けながらの生活。
寒さの厳しい季節であっても自然に対しての従順なる姿勢。
僧の表情や姿勢で彼らが何を考え生きながらえているのかを垣間見ることができる。
人が生きるということの魅力や精進する意味を再度問われた感じにさせられる写真集である。