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『宇宙戦艦ヤマト』。最初は地球の平和を守るために戦う話が、続編で他の星の戦争にちょっかいを出すようになる。これが一番ヒットして宮崎駿の作品が出るまでアニメ映画の一位を保ちつづけた。知らなかったからＤＶＤレンタルで見たけれど、ヤマトが反逆して出撃することに批判的な人たちをまったく平和ボケしたエゴイストに描いている。

最後ヤマトが「特攻」して宇宙の独裁者を倒すところでは、超満員の映画館の中は若者の感動が充ち満ちて中高生の女の子が声をあげて泣いた。
目からうろこです。どうして今三十代とか四十代の人たちがこんなにタカ派でイラク戦争も自衛隊派兵も肯定的な人が多いか。

もっと前の世代だと手塚治虫の作品はヒューマンな内容だし、水木しげるの妖怪ものも、『お父さんの戦記』みたいに作者の戦争体験が基にあります。
若い人が小林よしのりのマンガに影響されているというけれど、それを作っている人たちが三十代四十代のタカ派世代の人たちではないでしょうか
来年ヤマト新作でしょう
その前に読んでおくべき。
映画の製作スタッフにとっても参考になる内容ですね。
オタク本とは段違い
アニメ評とかは「研究本」と称して、ただストーリーを辿って適当なコメントを付け加えてお茶濁しだけれど、この本は違います。上っ面の情報ではなくもっと深い精神が読み込まれて書かれています。
アニメによって刷り込まれた世代
今、この社会の中堅どころとなっている世代の人たちにとって、こどものうちから無意識に刷り込みが行われている。
他でもないアニメによって。
宇宙戦艦ヤマトが決定的で、これなしにはそのあと今も続く機動戦士ガンダムも、あり得なかった。
これらがどうしてここまで影響力を持ち得たのか。

その時代的背景を当時の政治経済世相まで検証しただけでなく、後の宮崎駿作品に見られるエコロジーその他のテーマまで論究。
しかも「スタートレック」「海底軍艦」「ナバロンの要塞」「眼下の敵」などなどなど影響された実写映画まで及び、絵柄や音楽にまで冷静に分析している守備範囲の広さには驚嘆せざるを得ない。